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樹脂加工とはどんな加工?合成樹脂の種類や活用方法もご紹介!

こんにちは、岡畑興産靴受託事業の伊集院です。

身の回りのありとあらゆる所に樹脂製品はありますが、そもそも樹脂ってどんなもの?どうやって製品の形になるの?という方が大半だと思います。

そこで今回は、樹脂加工や樹脂の種類についてご紹介!

 

樹脂とはどんなものかというところから樹脂の種類を詳しく解説し、靴にも使われている樹脂についてもお話ししたいと思います。

 

樹脂加工とは?

そもそも樹脂というのは、国語辞典で調べてみますと次のように出てきます。

 

※参照元:goo辞書

「植物、特に針葉樹から分泌される混合物質。空気中で一部の成分が気化して固まる性質がある。松やになど。琥珀 (こはく) はこれが化石化したもの。合成樹脂に対し、天然樹脂ともよぶ」

 

元々は、樹脂と言われるものは天然の木から取れる樹液(分泌物)のことで、大気中で固まる物を意味しています。

これに対して、石油などを原料として、人工的・化学的に作り出されたものを合成樹脂と呼びます。

 

「樹脂加工」とは繊維製品などの機能を強化したり改善するために、この「合成樹脂」を施して加工することです。

加工により手ざわりや風合いを改良したり、防水・防縮などの機能改善を行います。

 

樹脂加工に用いられる合成樹脂ってどんなもの?

※樹脂のペレット

 

合成樹脂とは、ポリウレタンやポリエチレンのことです。

 

人工的に作られる合成樹脂ですが、2つの大きな性質の内どちらの性質を持つかで大別することができます。

 

まず1つ目が、熱可塑性と呼ばれる性質を持ったものです。

 

熱可塑性と言われると難しく感じてしまいますが、簡単に言いますと樹脂を熱で溶かして固めた後、再度熱を加えると前回と同じく簡単に成型(形を整える作業)ができるものです。

※初めはペレットと呼ばれるビーズのような形状になっています

 

例えば、バレンタインデーにチョコレートを作ろうと思ったら、一度溶かしてから型に詰めて固めますよね。

このとき固めるのに失敗したチョコレートを、また溶かして型に流し込み、作り直す作業をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

 

このように熱が加わると柔らかくなり、冷めると固まる性質を持った樹脂を「熱可塑性樹脂」といいます。

 

 

もう1つの性質は、熱硬化性と呼ばれる性質を持ったもの。

 

この性質を持った樹脂が「熱硬化性樹脂」です。

熱硬化性は、字の通り熱を加えることでより硬くなる樹脂のことを指すのですが、成型方法は熱可塑性と全く違います。

 

熱硬化性樹脂は、型にはめ込んだうえで圧縮して成型します。

熱を加えることで樹脂の中で架橋反応が起こって、樹脂の分子同士に橋を架けて固く結びつき、全く動かないラグビーのスクラムのような状態です。

この架橋状態になると、再度熱しても溶けない強固な状態になります

 

合成樹脂はこれらの2つのどちらかに分類され、それぞれの特性によって使用用途や成型方法などが変わってきます。

 

 

合成樹脂の「熱硬化性樹脂」「熱可塑性樹脂」はさらに分類される!

樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の中でさらに細かく分類されます。

一般的には、それぞれの中に以下の種類があります。

 

 

【熱硬化性樹脂】

主な種類:ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂

 

【熱可塑性樹脂】

・汎用樹脂(レジ袋や雑貨類、梱包材などに使用される、日々の生活で使われる樹脂)

主な種類:ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど

 

・汎用エンジニアリングプラスチック(工業用で耐熱性や強度をさらに強化された樹脂)

主な種類:ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリアセタール

 

・スーパーエンジニアリングプラスチック(樹脂の中でも極限の熱や圧力でも使用できる物)

主な種類:ポリフェニレンスルファイド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン

熱可塑性樹脂に関しては、大きく3つに分類されます。

 

汎用樹脂に分類されるものは、ビニール袋などで梱包されている商品のラベルを見たときに記載されているものが多く、知っている樹脂も多くあるかもしれません。

反対に、エンジニアリングプラスチックに分類されるものは様々な機械や電子部品などの内部に使われているものが多く、普段目に触れない分、初めて聞く物も多いのではないでしょうか。

 

「樹脂」は靴にも活用されている!用途や加工方法もご紹介

ここからはより身近に感じてもらえるように、皆さんが持っている靴によく使用されている樹脂について紹介したいと思います。

 

靴の中で樹脂を使うパーツとして1番使用されているのは、やはりアウトソールだと思います。

 

そこで、実際によく使われるいくつかの材料についてご紹介したいと思います。

 

エチレンと酢酸ビニル共重合体(EVA)

※たい焼き機のようなEVA金型

 

まずは、スニーカーやスポーツ競技用シューズまで幅広く使用されているのがエチレンと酢酸ビニル共重合体(EVA)。

なんだかすごく難しそうな名称ですが、これも熱可塑性樹脂の一種です。

 

成型方法は、靴底(ソール)の形状をした射出発泡成形型にEVAペレットを入れて、熱を加えます。

金型は、たい焼きの鉄板の様に内面に意匠があり、上下で閉じられるようになっています。

 

この金型にEVA樹脂を入れ、熱と圧力を加えることでEVAペレットを発泡させて何倍にも大きく膨らませ、金型内に充満させることで成型していきます。

その後、自然冷却することで、皆さんが持っている靴のソールのような形状の「EVAアウトソール」が完成します。

 

熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU樹脂)

  ※TPU成型機

 

本来は熱硬化性樹脂に分類されるポリウレタン樹脂ですが、熱を加えることで柔らかくし、形を再度変えることができる熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU樹脂)も存在します。

 

このTPU樹脂は、成型後は弾性があり耐摩耗性が高い(削れにくい)という特性を持っており、この性能を利用して野球スパイクや、サッカースパイクなどのソールとして使用されることがあります。

 

成型方法は射出成型で、型に熱して溶けたTPU樹脂を流し込んで、型通りの形状に固めます。

まさに溶けたチョコレートを型に流し込んで固めるイメージです。

 

型は、中面にソールの意匠を彫り込んだ雄雌の金型をセットで使い、成型時には雄雌の金型を閉じた状態で、ゲートと言われる注ぎ口からTPU樹脂を流し込みます。

その後、自然冷却された樹脂は固まり、ソールやサッカーのスタッズなどに利用されます。

 

ナイロン

汎用エンジニアリングプラスチックにも分類されるナイロンですが、実は靴でも幅広く使用されています。

ただ、スニーカーなどの一般的な靴に使用されることは少なく、主にサッカーシューズでTPU樹脂と併用して使用される機会が多いです。

 

ナイロン樹脂は、TPU樹脂に比べると軽くて屈曲性がよく、樹脂としてのコストも安いのですが、摩耗しやすいためスパイクでも地面に引っかかる場所や擦れる部分に対してはかなり扱いづらい材料となります。

 

そのため、サッカーシューズのソール本体部分は軽いナイロンで成型し、地面に引っかかる部分には耐摩耗性が高いTPU樹脂を使用するなど、使い分けがされているケースが非常に多いです。

 

成型方法は、同じ熱可塑性樹脂であるTPU樹脂と同じく、雄雌の金型に対して射出成型で形を作っていきます。

ナイロンの特性としてTPU樹脂よりも溶解温度が低いため、TPU樹脂で成型したパーツを金型に入れ込み、後からナイロン樹脂を流し込むことで、後からプライマー(糊)で接着させるよりもかなり強度が高い「一体成型」という方法が選べます。

 

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「樹脂加工」とは、繊維製品などの機能を強化したり改善するために「合成樹脂」を施して加工すること。
合成樹脂とは、ポリウレタンやポリエチレンのことです。

 

樹脂と言われるとなんだか自分とは遠い物となんとなく考えていた方も「実はこの製品も樹脂で作られているのか」なんて、身近に感じて頂ければと思います。

 

今回は樹脂の中でも、とくに靴に使用される樹脂について多くご紹介させていただきましたが、樹脂の種類は多くて成型方法もたくさんの方法が存在します。

 

もし今日この後コンビニに行った際に、何か袋で包装されている物がありましたら、ぜひそのラベルを見てみてください。

そこには、今回ちょっとだけ紹介した樹脂の名前が書かれているかもしれません。

 

 

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